vol.3介護主任 森・介護副主任 峯宇・看護主任 柳下
安心・安全の日常生活は、介護と看護の強い連携があってこそ、維持できるというものです。
この度は介護主任・森、介護副主任・峯宇、看護主任・柳下の3名に話を聞きました。
Q:森さん、峯宇さん、この2年を振りかえって、どんな2年間でしたか?
森: 1年目はみんなから嫌われないように(笑)気を使いました。旭ホームは歴史が永いので、以前から受け継いできているものがあるから、そういったことは大事にしないと。でも、いつかは次の若い担い手に引き継ぐ時が来るから、少しずつ若い世代に活躍の場を作りたいと思っています。いきなり「はい、どうぞ」はできないから、なんとなく緩やかにそういう風にしていきつつ、自然と若い世代の主導になっていったらいいかな、と。
峯宇: 2年前に副主任を拝命ということを言われた時は戸惑ったのが本音です。森さんが主任をやるなら「じゃあ、頑張ってみます」という感じでした。1年目は何が何だかわからないままに過ぎたような。2年目からは安定感を意識しました。3年目の今年は、副主任である自分に職員が話してくれることをしっかりと受け止めて、自分の役割を果たしたい。主任の森さんとは連携し合って、介護職員全体がうまく回っていけたらいいと思っています。
Q:柳下さんは旭ホーム入職2年目でベテランの藤井さんから主任を引き継ぐ形となりましたが。
柳下: 入職後間もなくの新任スピーチで、好きな言葉は「目配り・気配り・思いやり」と話しました。それは難しいことや大変なことではなく、真ん中に利用者さんがいて、その周りに私たちがいて、施設では各部署が役割を分かち合って、みんなで考えて、旭ホームを作っていきたいなと。職員はみんな発展的でいい意見を持っていると思うけど、それが表に出せないと、それは寂しいことで、みんなの意見を持ち寄れるような機会として、主任会議の実施を提案させて頂きました。個々に考えていることや抱えている問題などを話し合って、充実させていかれれば有難いと思います。医務室の役割としては利用者さんの健康を守ることが第一、プラス職員の健康にも気配りしたい。穏やかに流れていくような仕事ができたら有難いと思います。
Q:職員一人一人のいい意見や日常の行動をうまく引き出していきたいですね。
森: 職員の中には、思っていても口に出せない、こんなことを言ったら逆に何か言われるんじゃないか、みたいなことを気にすることもあるかと思うので、敢えて、今年度は各委員会のリーダーを若手を中心に振り分けてみました。失敗してもいいから、意見を出して、駄目ならまた変えればいい。この前、事務長も言ってたけど「成功なんて3割もない」って。思ったことを口に出す、行動に移す、そんな環境を作りたいと思っています。イメージとしては「みんながリーダー」。トップの力だけでガーッと行くんじゃなくて、みんながリーダー。
Q:いいイメージですね。でも、やはり主任や副主任の役割は大きいのでは?
森: なんか、最近は以前に比べると、みんなから「こういうことしたいです」とか言って来てくれるようになって、あ、いいかも、とか思ったりして。
Q:2年間を経て、森主任の思惑が伝わった。
森: 主任としての初年度は、何か自分の足跡を残さなきゃみたいなことを意識してたけど、意識しすぎるのもストレスだし、ストレスは周りにも伝わるし、壁を作ってしまっている感覚すら覚えた時期もありました。でもその内だんだんと足跡を残そうというようなことを意識しなくなって、最近は、主任として自分はどうするかを考えて、話し合えるようになってきていると思う。案外、賛同してくれる職員もいてくれることに気づいたし。
Q:峯宇さんの副主任としての自覚やその苦労は?
峯宇: 副主任になりたての頃は、それまで普通にしゃべっていた職員と、なんかちょっと距離を作ってしまうような。みんながしゃべっている中に、自分から入っていかれないみたいな。そんな実情というか、自分が気になったりもしましたが、まあ、結局は自分なりにやっていこうと思えるようになりました。
Q:森さん、峯宇さんの若い人からも意見を引き出したいという考え、柳下さんはどう思われますか?
柳下: すごくいい。そして二人とも無理してない。そこが一番好きかな。私なんて結構つっぱってきたもので。そうするとポキッと折れちゃう。折れない力の方が底力があって、長続きするし、継続ってすごく大事。前主任の藤井さんが40年勤続されていることもすごいことです。「継続は力なり」です。
森: 実は、主任は2年で降りたいと思ってた。旭ホームは自分より経験年数の永い職員が多いので、自分ではまとめきれないといった困難さを感じていたから。でも、うーん、何でかなあ。なんかわからないけど、「ま、いいか、自分流でやれば」という風に考えられるようになった。ある職員からも「今まで通りの森カラーでいいんじゃない。すこしカラーが出て来たよ」みたいなことを言われて、励まされました。
Q:肩の力が入り過ぎると荷が重くなってしまうことがありますよね。
森: 肩の荷を下ろすことしか考えてない時期もありました。でも、夜勤の時などに、組んだ相手といろいろ話したりして、結構みんなから「そうだよね」と共感してもらって、自分が心配してる程、主任の立場は孤独じゃないと気付かされて、まあ、若手にバトンを渡せる時が来るまで頑張るかって思えた。
Q:峰副主任も荷が重いと感じた時期はありましたか?
峰宇: 森さんが突っ走ってる(笑)時、年度途中で折れてしまったらどうしようと思いました。副として、どうしよう、このままでいいのか、と。でも、森さんも、ある意味吹っ切れてくれて。やはり周りの職員が力になってくれたおかげと思います。
Q:旭ホームは(今年40周年ですから)経験の永い職員もいて、その経験に満たない職員とのギャップがあるかもしれませんね。
森: そこに注目してしまうと難しくなってしまう。ちょっと下らないと思われるかもしれませんが、僕らプロレスが好きで、あるレスラーがよく言ってることで、自分たちがある方向性を持って信じて行動することで、本質をわかってくれる人はきっと賛同してくれる。万人に賛同を期待せず、信じる方向に『一歩踏み出す勇気』という考え方。このことを峯宇副主任とよく話します。
Q:ブレない、ということでしょうか。高齢者介護施設で言えば、高齢で介護を要するご利用者を中心に。柳下さんが最初に言っていたことと重なりますか?
森・峯宇: はい。
Q:柳下さんも主任を引き受けるにあたり、大先輩の後任として、重責と感じましたか?
柳下: この先は若い人たちがどんどん担っていくのがいいと思うので、次の世代交代までのワンクッションと思っています(笑)。
Q:柳下カラー発揮を期待しますよ。介護職員が圧倒的に多い特養という現場で、病院とは違った戸惑いはありましたか?
柳下: いいえ、前職の病院は、看護師も介護職員や看護助手と共に動くのが当たり前でした。夜勤もありましたが、常に一緒に動いていたので、何でもやりました。旭ホームに来て間もなく、ベッドから車椅子への移乗を介助し、食事を介助し、食事が終わってベッドへの臥床介助まで完了させたら、「こんな新人看護師さん、初めて」と介護職員さんに言われました(笑)。だから介護の大変さもよくわかります。
森: 柳下さんは現場でどんどん行動してくれます。頼りがいがあって、相談すると一緒に考えてくれます。また、率直になんでも言ってくれるし。
Q:ご利用者様の介護度や認知症も、入所の時点から4や5。重度化、多様性が増している現状と思われますが。ご利用者様と共に在る日常生活の中、毎日のケアでいつも心掛けていること、大切にしていることは何ですか。
森: 心掛けていることは「笑顔」を絶やさないようにすること。些細なことのように思われるかもしれませんが、とても大切と思う。暗い顔や眉間にしわを寄せた顔で介護にあたるのは、相手に嫌な思いをさせるし、誰にとっても悪影響しかないと思います。もう一つは「平等」。例えば、どうしても順番で行わなければならない場面や並び順等、いつも同じ人が先だったり、前だったりしないように。誰かが優先みたいなのは良くないと思っています。ここにいるご利用者様はみんな平等ですよ、という信念は持っています。
峯宇: 「ご利用者様の目標達成が自分の目標」をいつも頭に掲げています。どういうことかというと、自分たち介護をする側がご本人のためにと、その人に代わって何かを決めたり、行うのではなく、あくまでご利用者様ご本人がどうしたいか、何を目指したいかを軸に、自分たちは援助していく、一緒に考えていくというようにしたいです。あとは、自分の全力の気持ちがご利用者様に伝わっていくようにしたいと思っています。
柳下: 私は、ご利用者様の「安全」をまず第一に考えています。その上で初めて体の健康、心の健康を担保することができると思います。次に大切に考えていることは、すごくシンプルなんですけど、ご利用者様が自分の親だったら、と思ってケアにあたっています。そして常にそう考えられる自分を維持していたいと心掛けています。あとは、記録が大事だと思います。私の経験から見て、現状、かなりしっかりやっていると思います。私もできるだけ細かく記録するよう努力していますが、日々の引き継ぎの際は勿論、事故など起きた時は記録が非常に重要となりますから。
Q:40周年を機に、今後、目指したい旭ホームの将来像とはどんなイメージでしょう?
森: そうですねぇ、今のような穏やかな旭ホームの雰囲気はいいと思うんですよね。こういう感じでいけたらいいなと思うけど。
峯宇: 利用者様をメインに職員もいい関係性を保って、個人個人の意見が大事に受け止められて、周りとの調和が保たれる施設がいいかな。
柳下: 働いている我々が「旭ホームいいよ」といえるホームを目指したいです。困っている人がいたら「うちのホームいいよ」と我々が発信源となって、職員一人一人が広告塔になれたらいいなって。例えば、入所されて間もない方、特に認知症のある方は、家に帰るとか言われて落ち着かなったり、食事も入浴も拒否されたり。ところがほんの暫くすると笑顔でお食事されてる。何事もなかったようにお風呂に入ってる。ずっと前からここに居たように過ごされてる。職員の側も、最初は音を上げてしまいそうになっても、いつの間にかフツーに関りが持てるようになってる。これって旭ホームの空気なんでしょうかね。不思議だなぁと思ってしまうことさえあります。
Q:今後旭ホームが目指すイメージは穏やかな質感を維持して、スローガンでもある「ここにいてよかった」を継承していきたいということになるでしょうか。なんか、もっと突拍子もない飛躍したイメージが浮かぶかと思いましたが、随分と控え目ですね(笑)。 これからも現状に満足せず、信頼を寄せられる施設であるために、職員一人一人の力を結集させて前進していきましょう。今日はありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。